スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の性能向上により,AR などの計算負荷の大きい機能
も実用的な応答速度で利用可能となった.一方,国内外の旅行客を地方の観光地に誘致する手段として,ICT を活用す
る事例が多くみられている.特に現存しない歴史的建造物を CG により復元し,これを仮想現実感(VR)や拡張現実感
(AR)技術を用いて,仮想空間中で自由に観察できるものや,現在の景観に合成して観察できるコンテンツの提供が活
発化している.本稿では,マーカーレス型 AR を用いて現存しない歴史的建造物を CG オブジェクトとして現実世界に
合成する際,CG オブジェクト自体の陰影だけでなく,それが現実世界に及ぼす影響,具体的には現実物体に落とす影
や写り込みを連動させて合成する手法を提案する.提案手法を実装したプロトタイプを,萩城天守台及び周辺を模擬
したミニチュアに適用し,その有用性を確認した.
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