抄録
今後普及の見込まれる電気自動車の走行音は車内外ともに極めて静粛性が高い. これは良いことであるとも言えるが, たとえば車外においては歩行者にとっての気づきにくさなどデメリットもある.本稿では,車内においても,従来のエンジン音により運転者にもたらされていた高揚感などが減少する場合があることに着目し,利用者が「次世代スポーツ EV にふさわしい」と感じるサウンドの検討を行った.音楽理論を考慮したサウンドデザインとそれに対するアンケート調査の結果, マイナーコード(Cm)よりもメジャコード(C)をベースにしたサウンドの若干の優位性とともに,そこに付加する音の違い(Cm7 と CM7,不協和音,擬似変速音)による変化など複雑な結果が観察された.