2020 年 26 巻 p. 51-58
風速の再現期待値を求める一つの方法に、台風シミュレーションがある。台風時の地上の風速を求めるモデルに、各風向の粗度長から鉛直分布を仮定する方法がある。しかしながら、観測値から粗度長を求める際、台風によって異なる推定値となることがある。本研究では、地表面摩擦の影響を受けない上空風と地上風の再現期待値の比(RWR: Recurrence wind speed ratio)についての性質を調べると共に、RWRを用いた地上風推定方法を提案した。結果として、RWRは再現期間に依存しない傾向が確認された。これより、風速の観測値が得られる観測地点では提案手法が適用可能と考えられる。加えて、RWRは地上からの高さと地形の影響を受けることも示した。