2022 年 27 巻 p. 154-162
海面水温の温暖化を考慮した2019年台風19号の数値シミュレーションを行い,地球温暖化に伴う海面水温の将来変化が台風の発達過程,減衰過程に与える影響について検討した.将来気候の海面水温条件では現在気候の海面水温条件と比べて,より高緯度まで台風が発達し続けた.その結果,特に上陸緯度における台風強度が大幅に増大した.これは将来気候では,特に高緯度の海面水温が高く,海面から多量の水蒸気が供給され続けたことが原因であると考えられる.また,将来気候の海面水温条件では現在気候の海面水温条件と比べて,台風強度だけではなく台風サイズも増大し,強風が発生する領域がより広くなることを示した.