廃棄物学会誌
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名古屋市民は, こうしてごみを減らした
―葛藤, 協働, また葛藤, そして新たな協働を模索中―
加藤 正嗣
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2002 年 13 巻 3 号 p. 161-167

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抄録
20世紀最後の2年間で, 名古屋市民はごみ量を23%, 埋立量を47%削減した。次期最終処分場計画の断念を契機に, ごみ非常事態宣言, そして容器包装リサイクルに取り組んだ成果だ。文字通りの背水の陣で, 市は矢継ぎ早に新ルールを提起した。市民は, 一方的となりがちな進め方に不満を持ちつつも, 危機感を共有したがゆえに積極的に協力した。「成功させなくては」という市民の思いが強かった分だけ, 容器包装リサイクル法の不備による混乱も大きかった。われわれも「苦情こそ最大の情報源」と受け止め, 不行き届きながらも誠意をもって臨んだ。真剣なぶつかり合いの中で, 市民と市の距離は縮まった。成果を踏まえ, (1) 分別・リサイクルから発生抑制へ, (2) 本音で持続させる取り組みへそのための (3) 率直でオープンなごみ行政 (市民と行政の合意形成) , (4) 市民相互の合意形成, (5) 市民と事業者の合意形成という課題と, 正面から向き合うべき段階に入った。
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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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