抄録
バイオマスエネルギーは有機体を原料とするもので, 従来から発展途上国で広く使われてきたが, 先進国ではそうでなかった。しかし, 大気中の炭素を増加させない再生可能なエネルギー源と目されているため欧米などの先進工業国でも積極的に利用する機運が強まっている。わが国では, バイオマスエネルギー資源が最近ようやく新エネルギーに位置付けられ, その利用が今後積極的に進められる見通しとなった。わが国のバイオマスエネルギーの利用可能量は森林などにおける未利用分と都市ごみや産業廃棄物などの廃資源とを合わせれば1990年の最終エネルギー消費の約10%に相当する莫大なものである。しかし, その資源は国土に低密度で分散しており, しかも多様な形態のため大量処理に向かず, コスト高という課題を抱えている。そのため原料から利用に至る合理的な分散型システムの構築が求められている。そのための液体燃料への変換技術と利用方法の動向について概説している。