廃棄物学会誌
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内分泌攪乱作用を検出する遺伝子レベルのバイオアッセイ
石橋 弘志冨永 伸明有薗 幸司
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2004 年 15 巻 5 号 p. 240-246

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抄録

廃棄物は人間活動の増大や物質文明の発展・発達に伴い発生量が増大し, その性状についても多様性を広げている。近年, 一般あるいは産業廃棄物等の埋立処分場からの浸出や漏出水による水質, 底質あるいは土壌汚染や, それらを介した人間の健康あるいは生態系に対する影響が危惧されている。これら環境試料の生物に対する種々の作用 (たとえば, 発ガン性, 変異原性, 内分泌攪乱作用等) を検出するにはバイオアッセイが適していると考えられる。ここでは, 特に内分泌攪乱作用を検出するための遺伝子レベルのバイオアッセイについて概説した。In vitro試験としては, レセプター結合試験, MCF-7細胞などの培養細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイ, 酵母ツーハイブリッド法によるホルモン様作用の検出法が有用であると考えられる。それらに加え, 複数の遺伝子群を網羅的に解析するcDNAマイクロアレイ法をヒトや野生生物の毒性あるいは内分泌攪乱性の影響評価に用いることは重要であり, エコトキシコゲノミクスへの応用が期待される。

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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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