抄録
本稿では,「五カ国マネジャー調査」の個票データを用いて,日本,アメリカ,中国のマネジャーの仕事配分の決定要因を明らかにした。具体的には,マネジメントのコンティンジェンシー理論に基づいて,マネジャーが部下マネジメントとプレイヤー業務のそれぞれにかける時間の決定要因を定量的に探った。その結果,アメリカは部下マネジメント,日本・中国はプレイヤー業務の割合が高く,その仕事配分の決定に対しては,業種と役職からの共通の影響がみられた。マネジメントスタイルからの影響は,国別には個別に有意であるが,各国共通の傾向はみられなかった。また,日本企業がアメリカ企業並みのマネジメントを行うと仮定した場合,プレイヤー業務を週3.6時間程度削減できることを試算して示した。