女性学
Online ISSN : 2436-5084
Print ISSN : 1343-697X
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ディスカッサント 1
加藤 秀一
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2025 年 32 巻 p. 41-46

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抄録

 私が女性学から学んだことは、「世界を別様に見る」姿勢、言い換えれば、さまざまな行為や出来事に別の記述を与えることである。たとえば、「セックス」を「性暴力」として再記述すること。それによって従来の見方の偏りを照らし出すことができる。だがここで注意すべきは、同じ対象に対する視点は(潜在的なものも含めれば)つねに複数あり、全体的ないし包括的な視点といったものは特定の視点を特権化するための政治的レトリックでしかないということだ。このことは、フェミニズムだけでなく、あらゆる社会運動・政治運動に等しく当てはまる。重要なのは、それぞれの視点がおのれの偏りを自覚し、他の視点に立つ人々との対話という厄介きわまりない作業を継続することである。一見、高度に「理論的」なものにすぎないように見える問題も、現実にはこのような対話の賭け金になることがある。セックス/ジェンダーという概念の定義、また「女」「男」という記号の用法といった問題はまさにそうした事例の一つである。この問題に自明に正しい解答はなく、対話と論争を通じて共通見解を形成してゆくしかない。

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© 2025 日本女性学会
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