2013 年 55 巻 8 号 p. 2189-2196
食道静脈瘤上に生じた表在癌をESDにて切除しえた2例を報告する.いずれもアルコール性肝硬変患者で,1例目は切歯30cmに25×15mm,2例目は切歯35cmに33×20mmの平坦発赤病変を静脈瘤上に認め,Narrow-band imaging拡大所見から扁平上皮癌と診断した.まず食道静脈瘤に対し静脈瘤内注入法による内視鏡的硬化療法を行い,EUSで静脈瘤の血栓化を確認後,ESDにて一括切除した.組織学的にはいずれも深達度T1a-MMの扁平上皮癌で,脈管侵襲・切除断端は陰性であった.静脈瘤内注入法による硬化療法後のESDは,食道静脈瘤上の表在癌に対する内視鏡的治療法として有力な選択肢となりうる.