2025 年 32 巻 p. 54-72
日本の地方自治体において、国の政策に先行して「同性パートナーシップ制度」が導入され、全国の地方自治体に政策波及している。しかし、「同性パートナーシップ制度」は、ほとんどの自治体において要綱行政として運営されている。「同性パートナーシップ制度」は多様性だけではなく、LGBTQ+当事者達の人権に関わる重要な問題であるのに、なぜ条例型ではなく要綱型で多くの自治体が制度導入しているのか。この問いに対して、初期に制度導入を行った先駆的20の自治体の担当課にアンケート調査を行い、その要因を分析した。分析によれば、多様性や国際性を意識された制度であるにも関わらず、実際には行政側の担当課は国外の先行事例にはほとんど目を向けていなかったことが判明した。また、妥協の結果としての要綱型ではなく、議会や議員との合意形成の困難さを懸念し、最初から要綱型ありきでの制度導入が進められていたことが分かった。本研究は、先行研究の知見を踏まえ、制度導入自治体へのアンケート調査の結果の分析から、「同性パートナーシップ制度」の政策過程の現状を捉える学際研究である。