女性学
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論文
20世紀前半の大阪市立衛生試験所による学童弁当改善運動と母役割
―愛情弁当論誕生の史的背景
土屋 匠平
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2025 年 32 巻 p. 73-91

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抄録

 本稿は、20世紀前半における生活改善運動や総力戦体制下の女性の組織化などの公的機関による家庭への関与のなかでも日常生活の食に着目する社会史研究である。本稿の目的は、衛生事業としての子どもの発育・健康と食・栄養に関する母役割や規範が形成された諸相を検証することである。具体的には、1930年代における大阪市立衛生試験所による学童弁当の栄養改善と全児童向け学校給食導入を求める運動である学童弁当改善運動を対象とした。

 この運動の過程で、弁当や家庭の食事作りに関する母役割が強調され、また母体として子どもを産み育てる女性の母役割や規範が強化された。そして20世紀前半に、子どもの衛生をめぐり発育・健康と食・栄養が強固に結び付けられ、母親にその責任が担わされ、母親の愛情の程度によって子の健康状態が決定されるという認識が広まるプロセスを明らかにした。よって、愛情弁当論—栄養豊富な手の込んだ弁当こそが母の(子への)愛情の証とする論調—の起源が20世紀前半にみられると結論づけた。

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