イオンチェンバーの代わりにX線CCDカメラを使用し,そこから得られた画像の濃淡を数値化することにより,位置分解能を兼ね備えたX線吸収微細構造(XAFS)測定を試みた.これは,通常の透過法によるXAFS測定レイアウトのうち,試料の下流側に設置されるイオンチェンバーをダイレクト型のX線CCDカメラに置き換えることに相当する.エネルギーを走査させながらCCDカメラの画像を動画として記録することにより,XAFS測定範囲に対応する映像を得た.各エネルギーにおけるX線透過強度は,CCDカメラの動画からフレーム抽出した画像の濃淡解析によって得た.CCDカメラによる画像は,約30万のピクセルからなっており,その任意の領域の解析を行うことで,X線強度に「位置分解能」を持たせることが可能になった.得られたXAFSデータは,EXAFS関数の振幅が過小に導出されるなど,定量的な解析において精度面で若干の問題を残したものの,定性的な分析には十分に耐えうるものであった.