X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
原著論文
焦電結晶上での二元X線発生機構
山岡 理恵山本 孝湯浅 賢俊今井 昭二
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2012 年 43 巻 p. 381-389

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抄録

タンタル酸リチウム単結晶の加熱/冷却に伴うX線発生現象について,真空度および昇温温度を制御した実験を行い,その発生機構について検討した.X線発生は既往の報告より三桁高い真空度10-4 Paでも起こり,X線発生終了までの全積分強度は1 Paまで一定であった.タンタル酸リチウム単結晶の焦電性を利用したX線発生は,結晶表面近傍で起こる放電に伴って残留ガスより生じる高密度の荷電粒子の衝突を起源とする数分以内で終了する現象と,もともと残留ガス中に存在する荷電粒子を起源として10分以上継続するものとの二元機構であると結論された.焦電結晶の昇温する速度を一定にすることでX線発生強度が一定となる時間を延長することができた.

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© 2012 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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