X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
原著論文
長作動距離モノキャピラリーX線集光素子を用いた絵画用X線分析顕微鏡の開発
中野 ひとみ阪口 真以安保 拓真駒谷 慎太郎大澤 澄人岩崎 余帆子近藤 萌絵田口 かおり森 直義辻 幸一
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2019 年 50 巻 p. 151-160

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抄録

美術品や絵画の測定では,試料を傷つけないよう,非破壊・非接触での方法が求められる.蛍光X線分析はこの目的に対して適した技術の1つである.元素画像を得るために,微小X線ビームを用いた分析法が開発されてきた.安全に絵画の測定を行うために,試料と装置間での作動距離(Working Distance:WD)を従来の装置よりも長くできる集光素子を開発した.本発表ではモノキャピラリー内壁に金のコーティングを施し,全体を回転楕円体に設計することにより,従来よりも集光効率が高くWDを大きくできる集光素子(長作動距離モノキャピラリー集光素子)を用いた絵画用X線分析顕微鏡を開発し,これを用いてフィンセント・ファン・ゴッホの絵画作品(ポーラ美術館収蔵)の絵具層分析に応用した結果を報告する.

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© 2019 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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