X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
原著論文
卓上型蛍光X線分析装置を用いた毛髪中の元素定量法の提案
古里 拓巳井上 史之辻 幸一
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2019 年 50 巻 p. 177-184

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抄録

人体においてミネラルは大きな働きをしている.そのためミネラルの過不足を知ることは健康診断のために重要である.しかし,恒常性により血液中のミネラル濃度は一定に保たれており,血液検査ではその異常を調べることができない.一方,毛髪はミネラル情報を取り込み保持しているため,体内のミネラル濃度を調べることができる.そこで,ICP-AES/MSといった分析法よりも,より簡便・迅速な毛髪中の元素定量法を検討することとした.本研究では,卓上型の蛍光X線分析装置を用いて,散乱X線内標準法による毛髪の定量を検討した.その結果,毛髪中のS,Ca,Znについて定量することができた.しかし,CaやZnなど含有量の小さな元素においては定量結果のばらつきが大きくなった.また試料形態に依存するため,毛髪の試料準備法が重要であることが分かった.

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© 2019 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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