X線分析の進歩
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装置計測
X線/紫外可視吸収分光の熱力学モデル解析による塩酸水溶液中コバルト塩化物錯体の分布と構造の決定と第一原理計算による検証
打越 雅仁篠田 弘造松本 高利
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2022 年 53 巻 p. 97-117

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抄録

紫外可視吸収分光スペクトルを熱力学モデルに基づくフィッティング解析を行うことで,CoII塩化物錯体の安定度定数,HCl水溶液中における分布と錯体個別のモル吸光係数を求めた.得られた分布をX線吸収分光に適用して錯体個別のXANESおよびEXAFSスペクトルを算出し,HCl水溶液中のCoII塩化物錯体の構造解析を実施した.EXAFSスペクトル解析ではそれぞれの錯体に対して複数の構造モデルを仮定して解析を行ったが,構造を確定するには至らなかった.そこで,第一原理計算により求められる最適化構造と実験結果から得られる構造を比較検討し,計算値と実験値の相対エネルギー差から,最も確度が高い構造を決定した.その結果,[CoII(H2O)6]2+,[CoIICl2(H2O)4]0,[CoIICl4]2-の3錯体の存在を確認した.本研究で検討した解析方法は,紫外線可視光/X線吸収分光,熱力学モデルによるフィッティング解析,第一原理計算を組み合わせた解析法である.それぞれの解析法の短所を補う長所を組み合わせることで,CoII塩化物錯体の分布および構造を決定することができた.

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© 2022 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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