2021 年 13 巻 1 号 p. 39-45
介護職員不足による過剰な服薬介助業務負荷は,落薬,誤薬発生につながる可能性がある.そこで,高齢者薬物療法の安全性向上を目指して,高齢者施設の介護職員および被服薬介助入居者を対象として服薬介助業務負荷を調べ,服用時点変更による業務負荷軽減の可能性を探ることを目的とした.被服薬介助入居者 51 人の服用時点別服薬数は,朝が 191 剤(104 品目)と最多で,服薬介助にあたる職員数は朝 2 人,昼 3 人,夕 3.2人,就寝前 3 人であった.朝昼服用患者の 1 日 1 回朝服用薬剤のうち,添付文書上,服用時点変更可能なものを 1 日 1 回昼服用に変更する場合,職員 1 人当たりの服薬介助業務負荷は,朝が 25 人 95.5 剤から 20 人 59.0 剤に,昼が 8.7 人 16 剤から 12 人 40.3 剤に変化することが示された.1 日 1 回朝投与薬剤の服用時点変更が可能な場合,朝に集中する服薬介助業務負荷を軽減し,服薬介助業務の適正化につながることが示唆された.