トレーシングレポート分析からみた薬局薬剤師の処方提案の在り方

抄録

2019年4月～2021年3月に当薬局グループで収集したトレーシングレポートのうち，薬剤師が処方変更を提案した事例について，提案通りに変更された割合の推移や事例を内容ごとに分類し，検討した．期間中の報告数は740件で，処方変更関連の事例は351件だった．そのうち薬剤師の提案通りに変更された割合は，59.7%（19年4～9月）→63.2%（19年10月～20年3月）→70.1%（20年4～9月）→74.0%（20年10月～21年3月）と増加傾向だった．内容では，残薬整理（77/81件，変更率95.1%），服薬状況の改善（59/71件，83.1%），減薬（26/35件，74.3%）を目的としたもので変更割合が高かった．また，報告数は少ない（5件）が，製剤特性面からの提案はすべて変更された．残薬整理，服薬状況の改善，減薬，製剤特性面からの提案といった薬剤師職能の発揮が医師との連携を進めると示唆された．