2022 年 14 巻 2 号 p. 154-160
本研究の目的は,帯状疱疹に罹患する授乳婦に対して,乳児(新生児)への安全性の観点から,どの薬剤が推奨されるのかを調査することである.調査対象の薬剤は,帯状疱疹に適応を有する内服薬とした.本調査に用いた情報源・資料は,医療用医薬品添付文書・インタビューフォーム,LactMed, Drug in Pregnancy and Lactation(DPL)とした.また,種々パラメータ情報(M/P比や血中薬物濃度)を収集し,各薬剤の相対乳児薬物摂取量(RID)も算出した.アシクロビル(ACV)とバラシクロビル(VCV)は,LactMedとDPLから得られた情報と,算出RID値の情報から,乳児(新生児)への安全性が高い薬剤であると考えられた.ファムシクロビルやアメナメビルは,ACVやVCVに比べて,大きな臨床的メリットがあるにもかかわらず,乳児(新生児)への安全性に関する情報が十分に得られないことがわかった.