2022 年 14 巻 2 号 p. 107-115
かかりつけ薬剤師制度は,患者の服薬情報の一元的・継続的な把握と薬学的管理・指導を実施することで,患者の薬物療法の安全性および有効性の向上を目的としている.しかし,かかりつけ薬剤師指導料の算定率は低い水準にとどまっている.これまで,かかりつけ薬剤師制度が進展しない患者側の要因については調査されているものの,薬剤師側の要因については調査されていない.そこで,かかりつけ薬剤師の業務および施設基準に対して,薬剤師が負担と感じている項目についてインターネットを用いて調査し,かかりつけ薬剤師制度の進展を阻害する薬剤師側の要因を検討した.その結果,負担感の高い項目として「時間外の相談対応」「地域活動への取り組み」「患者負担額」「在宅医療」「調剤後の電話による確認」が抽出された.これらの項目が,かかりつけ薬剤師制度の進展を阻害する要因であると推測される.