2023 年 15 巻 1 号 p. 20-35
薬剤師が医療課題に関わるために必要な資質を明確にすることを目的とし,アンケート調査を薬剤師300人程度に実施した.勤務年数,勤務先等で2群にし,Mann-Whitney U testを行った.必要な資質は,薬に関する専門的知識が307人中235人(76.5%),医療課題の内容に関する知識が307人中233人(75.9%)であった.資質を身に付ける機会は,薬剤師会からの情報提供等で307人中206人(67.1%)であった.学部教育で育成すべき資質は,医療課題に関する知識が311人中219人(70.4%)と患者・生活者とのコミュニケーション能力であり,資質育成の機会として医療現場での体験実習との回答が多かった.医療課題解決に取り組む薬剤師の育成には,医療現場での教育が必要であることが明確化されたが,実務実習内容の評価・検証が十分に実施されておらず,今後,これらについて評価・検証する必要があると考える.