2025 年 17 巻 1 号 p. 126-135
腎機能評価に必要な検査値は薬局で入手困難であるため,over the counter(OTC)医薬品販売時に腎機能を加味した介入が難しい.そこで本研究では,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の一般用・要指導医薬品情報検索サイトを用いて,腎機能低下者に注意が必要なOTC医薬品を特定し,同一成分の医療用医薬品の添付文書と腎機能関連の注意表記を比較して課題を明らかにすることを目的とした.要指導・第一類医薬品の添付文書の「使用上の注意」に注意表記があったものは,要指導医薬品で64%(9/14件),第一類医薬品で80%(107/134件)みられた.ファモチジンやニザチジンを含むOTC医薬品では,通常用量が医療用医薬品よりも減量され,さらに腎機能低下者への使用が禁忌となっていた.保険薬局で腎機能測定を可能にすることで,OTC医薬品の適応範囲拡大,セルフメディケーションの推進につながると考える.