論文ID: oa.2024-0018
本研究では,保険薬局における医療機関との患者情報の授受と地域医療情報連携ネットワーク(以下,NW)参加の現状,併せてそれら関連要因のアンケート調査を実施し,分析した.NWに参加している薬局は調査回答のあった159店舗中14店舗であり,その割合は少なかった.検定の結果,NW参加薬局は在宅患者数や患者情報の授受実績のある医療機関数などが,不参加の薬局に比べ有意に多かった.また,回帰分析の結果,これらがNW参加の関連要因であることが示された.さらに,費用負担がない前提では,情報授受の不便さがNW参加意向に関連した.反対に,NW参加に対して一定数の消極的な回答者群が存在した.以上の関連要因は,“患者のための薬局ビジョン”や地域包括ケアシステムでの主体的役割を担うことにも関連することから,薬局のNWへの参加は薬局機能の向上に資する可能性が高いことが示唆された.また,NWの普及には,費用対効果の明示の重要性が示唆された.