山梨英和大学紀要
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日本人とキリスト教:国家主義体制下のキリスト教主義学校
深津 容伸
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2016 年 15 巻 p. 58-65

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抄録
日本は1889年に大日本帝国憲法を、そして翌1890年には教育勅語を発布し、天皇制による国家体制、 国家神道による精神統一を進めていった。しかしその際、教育上妨げとなると判断されたのが、キリスト教主義による学校教育、キリスト教教育だった。海外の宣教師たちによって設立されてきたキリスト教に基づく学校教育は、特に女子教育、幼児教育において先駆的役割を果たしてきたが、国粋主義に舵を切った日本政府、文部省にとって、自由、平等、博愛の精神などを唱えるキリスト教に基づく学校教育は邪魔な存在だった。そこで、文部省はキリスト教に基づく学校教育は認めないとして、1899年訓令第十二号を発令した。これは宗教教育を続けるならば、上級学校への受験資格、徴兵猶予、官吏任用受験資格などの学校が持つ特権を失うことを意味した。本稿では、このことに対しキリスト教主義学校はどのように対処したか、その際の問題点には何があり、その後の歴史にどのような影響を及ぼしたかを見ていきたい。
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© 2016 山梨英和大学
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