山梨英和大学紀要
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戦後新教育における図書館教育の実態
甲府市立南中学校の事例
根本 彰
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2023 年 21 巻 p. 37-52

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抄録
戦後占領期に,連合国軍総司令部の指示により,教育改革の一環として学校図書館を設置して教育課程を支援する取り組み(図書館教育)が試行された。本稿では全国の教育委員会に先駆けて山梨県教育委員会が1949 年から実施した実験学校プログラム参加校のうちで,甲府市立南中学校が4年間実施した事例を同校報告書に基づいて検討する。初年度に文部省資料と先行事例を参考にしながら図書館指導を織り込む計画を立て,これを2年目にはリーディングガイダンスと名付けて実施しようとした。しかし3年目には生徒指導を中心とするガイダンスと名称を変え,4年目には事実上図書館教育の実施はうまくいかなかったと報告した。うまくいかなかった理由として,発足したばかりの新制中学校における生徒指導など,より困難な問題への対応を優先したこと,教員全体が合意して取り組んだものではなくまた実施するための専任職員が配置されたわけではなかったことがあった。
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