山口医学
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症例報告
膵頭十二指腸切除後の仮性動脈瘤破裂に対し肝動脈塞栓術にて救命し得た1例
久保 秀文関矢 まり樽本 浩司河岡 徹為佐 卓夫植木谷 俊之近藤 哲山下 武則片山 節
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2018 年 67 巻 2 号 p. 103-110

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抄録

今回われわれは膵頭十二指腸切除(PD)後の胃十二指腸動脈の仮性動脈瘤からの出血に対して肝動脈塞栓術(TAE)によって救命し得た1例を経験したので報告する.症例は58歳,男性.膵頭部癌(T3N1M0StageⅡB)にてPDを施行し,Child変法で再建された.術後第21病日に突然,腹痛を来し血圧が60mmHg台まで低下した.緊急内視鏡検査を施行したが出血点の同定は困難であった.CTで腹腔内および消化管内に大量の血種・凝血塊が認められた.造影CTおよび腹部血管造影で胃十二指腸動脈断端に仮性動脈瘤が認められたが,明らかな血管漏出像は認められなかった.総肝動脈をマイクロコイルにて塞栓したところ血圧は安定し,塞栓後20病日目に軽快退院した.本症例では上腸間膜動脈から右肝動脈が起始していたため,総肝動脈塞栓後も肝膿瘍や肝梗塞を来すことはなかった.本症例では予兆出血は認められなかったが,未破裂の動脈瘤を早期診断・早期治療するためには術後の比較的早期にCTを行う必要がある.またPD術後の急性腹症では腹腔動脈域での仮性動脈瘤の発生を念頭に置き,瘤破裂に対しては外科・内科・放射線科の緊密な連携が不可欠である.

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© 2018 山口大学医学会
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