日本腰痛研究会雑誌
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腰椎X線所見と頸椎X線所見の同時出現性について
腰痛からみた分析
稲岡 正裕山崎 勇二細野 昇多田 浩一米延 策雄
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キーワード: 腰痛, 椎間板腔狭小化, 頸椎
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1999 年 5 巻 1 号 p. 31-37

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抄録
人間ドックを受診し頸椎と腰椎のX線検査を受けた641人 (うち295人は腰痛保持者) を対象に, X線所見における, 変性変化や異常所見の同時出現性を調査し, 腰痛保持者では, 頸椎にも特徴があるかを検討した.頸椎と腰椎の単純X線像における異常所見の同時出現性と腰痛との間に有意性を認めるものが存在した.特に, 椎間腔の狭小化においては, 頸椎と腰椎ともに椎間腔狭小化のある98人中, 腰痛ありのものが62人 (63%) であるのに対し, 頸椎と腰椎ともに椎 間腔狭小化のない310人では, 腰痛ありのものは122人 (39%) であった.頸椎と腰椎の椎間腔の狭小化は加齢とともにその同時出現性が高くなるが, 年齢, 性にかかわらず, 腰痛群で頸椎, 腰椎の両方に同時に出現する傾向を認め, 腰痛発現に全身因子, 脊柱全体の素因が関与する可能性を示唆する結果となった.
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