日本養豚学会誌
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原著
低CP・低TDN飼料給与が肥育豚の成長, 肉質および窒素排泄量に及ぼす影響
池田 周平祐森 誠司鈴木 伸一栗原 良雄
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2005 年 42 巻 1 号 p. 8-19

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抄録

肥育豚 (75~110kg) に低CP・低TDN飼料を給与し, 成長および肉質に及ぼす影響について検討した。供試豚は三元交雑の去勢肥育豚8頭を用いた。試験区分は低CP (9.5%) で不足するリジンを補充し, TDNを日本飼養標準の値 (75%) に合わせた対照区と低CP (9.5%) でTDNを日本飼養標準の値から5%単位で低減した試験区 (70%) とした。供試飼料は配合原料の種類が同一となるようにし, TDNの低減には飼料組成中のコーンコブミールの割合を高めた。供試豚は2区に平均体重が等しくなるように配分した。試験は単飼, 不断給餌, 自由飲水の条件で, 室温25±2℃の空調室内で行った。測定項目は体重 (増体量), 飼料摂取量, 飲水量, 体各部位の発育値, 超音波画像診断による胸最長筋の断面積と背脂肪厚, 消化率 (試験終了直前), 屠体成績, 胸最長筋の化学成分と背脂肪の化学性状, 糞尿量と糞尿中の窒素および窒素化合物量ならびにアンモニア揮散濃度とした。
対照区113.7±7.8kg, 試験区112.0±3.5kgとなった42日目で試験は終了とした。1日当たりの増体量, 飼料摂取量, 飲水量, 飼料効率, 体各部位の伸長, 超音波画像診断による胸最長筋の断面積と背脂肪厚に有意差は認められなかったが, 飼料摂取量と排泄糞量は試験区が多くなる傾向にあった。消化試験の成績ではCP, 粗脂肪, ADF, 熱量の消化率は試験区が有意 (P<0.05) に低かった。屠体成績の各項目に有意差は認められなかったが, 背脂肪厚は試験区で薄くなる傾向にあった。また, 胸最長筋の粗脂肪含量も試験区で低くなる傾向にあった。糞中の窒素含量は試験区で低くなる傾向にあったが, 尿中の窒素含量には差がなかった。糞尿からのアンモニア揮散濃度は対照区に比べ, 試験区が高い値で推移した。
本試験成績では, 低CP・低TDN飼料は肥育豚の成長, 枝肉成績に影響することなく, 糞尿中の窒素濃度を低めたが, 対照区に比べ飼料摂取量が多くなる傾向にあり, それに伴い排泄糞量が増加して窒素排泄量が多くなった。

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© 2005 日本養豚学会
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