日本養豚学会誌
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原著
PGF投与量が豚の発情周期および繁殖成績におよぼす効果
神山 佳三岩村 祥吉染井 英夫丸山 朝子
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2010 年 47 巻 4 号 p. 181-186

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抄録

前回の発情最終日を0日として,8~10日の3日間,各群10頭についてプロスタグランジン(PG) F 15mg (I区),10mg (II区),5mg (III区)を1日2回筋肉内へ反復投与し,発情周期の短縮効果とその後の繁殖成績を検討した。
発情周期はI区,II区およびIII区で,それぞれ15.7±0.6日,17.9±3.8日および,17.5±2.5日と生理食塩水を投与した対照区(21.2±1.2日)と比べ有意に短縮した。しかし,IIおよびIII区において,それぞれ3頭の発情周期は21~26日と短縮効果は認められなかった。
血中プロジェステロン(P)濃度は,対照区では14日から漸減し,18日以降1ng/ml前後の低値で発情回帰時まで推移した。一方I~III区では,発情周期の短縮効果が認められなかった6頭を除くと,投与開始2日目(10日)から急激に減少し,投与終了後2日(12日)以降は1ng/ml程度の低値で発情開始まで推移して,10日から14日まで対照区と比べ有意に低値を示した。発情周期の短縮効果が認められなかった6頭のP濃度の推移をみると,PGF投与期間中は減少傾向を示すものの,投与終了後には上昇して,15~21日まで高い値を維持した。
PGF投与により誘起された発情時に交配した場合,妊娠期間,産子数,生時体重とも標準的な成績が得られた。
これらのことから,PGFの1回あたりの投与量を10mgあるいは5mgに減じた場合,70%の個体に発情周期短縮効果が認められた。確実に発情周期の短縮を図るためには1回あたりの投与量を15mgとする必要があることが明らかとなった。

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