日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
原著
すりゴマおよび飼料用玄米の給与が肥育後期豚の発育と肉質に及ぼす影響
山田 絢子大石 泰之堀江 智子加藤 美紗子小園 正樹大森 英之田島 清
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 54 巻 3 号 p. 109-120

詳細
抄録

本研究では,抗酸化成分(ゴマリグナン類およびビタミンE)を有するゴマに着目し,すりゴマの給与が肥育後期豚の発育と肉質に及ぼす影響を調査するため2つの実験を実施した。実験1では,LWD豚12頭を6頭ずつ(去勢3頭·雌3頭)2区に分け,対照区飼料(トウモロコシ80%含有)およびすりゴマ区飼料(トウモロコシ77%,すりゴマ3%含有)を給与して,体重66kgから114kgまでの肥育試験を行った。実験2では,LWD豚12頭を6頭ずつ(去勢3頭·雌3頭)2区に分け,対照区飼料(トウモロコシ40%,飼料用玄米40%含有)およびすりゴマ区飼料(トウモロコシ37%,飼料用玄米40%,すりゴマ3%含有)を給与して,体重64kgから110kgまでの肥育試験を行った。実験1,2共に,飼育期間中の増体や飼料摂取量に有意な差は認められなかった。と畜解体後に胸最長筋を採取し,豚肉の理化学特性の分析を行ったところ,実験1,2共にすりゴマ区の豚において背部内層脂肪中のリノール酸の割合が有意に高くなり(P<0.05),γ-トコフェロール量が増加した(P<0.05)。また実験1では,すりゴマを給与した全頭の豚で,背部内層脂肪にゴマリグナン類(セサミンおよびセサモリン)が蓄積していた。飼料用玄米40%を飼料に配合した実験2では,去勢雄において,背部内層脂肪にセサミン·セサモリンが蓄積していた。また,胸最長筋のスライスを約一週間冷蔵保存し,背部内層脂肪のTBARS値を経時的に測定したところ,実験1,2共に処理区間内で有意な差は認められなかった。以上から,3%のすりゴマの給与によって豚肉の脂質酸化の抑制は認められなかったが,背部内層脂肪の脂肪酸組成が変化し,ゴマ由来の抗酸化物質が蓄積することが明らかになった。また,飼料用玄米配合飼料にゴマを配合した場合においても同様の結果が得られた。

著者関連情報
© 2017 日本養豚学会
次の記事
feedback
Top