1973 年 10 巻 2 号 p. 118-122
ウレアーゼを特異的に阻害する物質である Caprylohydroxamic acid (CHA) が豚消化管各部位内容物中のアンモニア, 尿素およびウレアーゼ活性におよぼす影響を調査しつぎの成績を得た。
1, アンモニア濃度は, 対照区, CHA区とも胃から後方に向って次第に増加する傾向を示した。またCHA区は対照区に比較して, 胃および盲腸部分でやや高い値を示し, 空・回腸分部および結腸部分で低下しているがいずれも両区間に有意差はなかった。
2, 尿素量は, 対照区, CHA区とも小腸部分で高い値を示すが, 大腸部分で急激に低下する。CHA区は対照区に比較して, 十二指腸と空腸で有意に高い値を示した。
3, ウレアーゼ活性は, 胃, 空腸, 結腸および直腸で測定したが, CHA区は対照区に比較してすべての部位で低い値を示し, 直腸においてのみ有意な差がみられた。
4, 以上の結果から, 消化管内アンモニアの主源が尿素の分解によるものであることが推察される。よって消化管内アンモニア濃度のコントロールは, ウレアーゼ活性の抑制によって一部可能であることの示唆を得た。