日本養豚研究会誌
Online ISSN : 2186-2567
Print ISSN : 0388-8460
ISSN-L : 0388-8460
10 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • M. ROGIERS, 北野 訓敏
    1973 年 10 巻 2 号 p. 83-95
    発行日: 1973/08/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    以上要約しますと, 豚は離乳から肥育豚舎に行くまで度々移動させられたり, 精神的に障害をうけるので, 相当な精神的なストレスを受けるため, Selye によって報告されている“適応症候群”にまで進行することが考えられます。このため異化作用は促進して胃腸障害を引き起すことになると思われます。
    消化管に関連した数多くの臨床的障害は離乳後に典型的に発生するものであり, その障害は下痢症, 出血性腸炎, 成長の停止, 飼料効率の低下であります。
    消化管にみられる病理解剖学的病変は, 離乳後と同様に実験的ストレスを与えた場合にも観察されました。
    離乳後の損失を出来るだけ少なくする方法としては, 広範囲に適用される抗生物質の多量に入った所謂“ストレス飼料”を投与することが必要であります。また, アザペロンの様な精神安定剤は良好な治療効果を示すことが出来ます。アザペロンは豚の精神的平衡を維持し, 発生が予測される胃腸障害を予防するものであり, その原因的治療剤としてすぐれた薬剤であると考えられます。
  • 上山 謙一, 丸山 正明
    1973 年 10 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 1973/08/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    肥育豚に対する飼料給与法の1つとして自動給餌器による自由給餌において, 給餌器を有効に利用するため給餌器の1口当りの飼育頭数を1頭, 2頭および2.5頭とした場合の豚の発育, 飼料の利用性, 飼料の採食状況等について試験したが, その結果は次のとおりであった。
    1, 体重50kgまでの肥育前期においては給餌器1口当りの飼育頭数は2頭, 2.5頭より1頭が発育がすぐれ, 所要日数も短かく, 1日平均増体重も大きく, かつ飼料要求率も小さくなる傾向がみられたが, 肥育後期においてはこの傾向は少なくなり, 肥育全期間でみれば, 給餌器1口当りの飼育頭数は1頭も2頭. 2.5頭も余り発育ならびに飼料要求率には影響がみられなかった。またと体については全く差はみられなかった。
    2, 飼料の採食状況は1頭当り1日の採食回数は最少5回, 最多39回, 1回の採食時間は最短15秒, 最長49分1日の採食時間の合計は最短55分, 最長4時間43分であった。1頭当りの豚房床面績に差がなければ, 自動給餌器1口当りの飼育頭数は2.5頭までは飼育可能なことが判った。
  • 沼田 薫
    1973 年 10 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 1973/08/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
  • とくにメチオニンの添加効果について
    大島 光昭, 高原 章兆, 中村 康則
    1973 年 10 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 1973/08/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    体重約20kgの豚を用いて赤クローバーサイレージの各成分の消化率, TDN, および生物価を2回に亘り測定した。その結果を要約すると次のごとくである。
    1 赤クローバーサイレージ中各成分の全糞採取法による消化率は実験1と2で異なり, 粗蛋白質の消化率はそれぞれ56および53%, 乾物当りTDNはそれぞれ62および55%だった。この差は材料の熟期によるものであろう。
    2 すべての成分において, 全糞採集法による消化率が酸化クロム法によるものより高い値を示した。しかし有意差はなかった。
    3 赤クローバーサイレージ粗蛋白質の生物価は約50%だったが, メチオニン添加により70%以上に向上し, カゼインおよび市販配合飼料とほぼ同じ値に達した。
    4 市販配合飼料と, その20%を赤クローバーサイレージで置換した飼料について生物価を測定した結果, まったく同じ値を示した。この結果は, 両者ともメチオニン添加の効果がなかったことから, 配合飼料中の過剰メテオニンによってサイレージ中の不足量が補足さたたであろう。
  • 木村 誠
    1973 年 10 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 1973/08/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    ウレアーゼを特異的に阻害する物質である Caprylohydroxamic acid (CHA) が豚消化管各部位内容物中のアンモニア, 尿素およびウレアーゼ活性におよぼす影響を調査しつぎの成績を得た。
    1, アンモニア濃度は, 対照区, CHA区とも胃から後方に向って次第に増加する傾向を示した。またCHA区は対照区に比較して, 胃および盲腸部分でやや高い値を示し, 空・回腸分部および結腸部分で低下しているがいずれも両区間に有意差はなかった。
    2, 尿素量は, 対照区, CHA区とも小腸部分で高い値を示すが, 大腸部分で急激に低下する。CHA区は対照区に比較して, 十二指腸と空腸で有意に高い値を示した。
    3, ウレアーゼ活性は, 胃, 空腸, 結腸および直腸で測定したが, CHA区は対照区に比較してすべての部位で低い値を示し, 直腸においてのみ有意な差がみられた。
    4, 以上の結果から, 消化管内アンモニアの主源が尿素の分解によるものであることが推察される。よって消化管内アンモニア濃度のコントロールは, ウレアーゼ活性の抑制によって一部可能であることの示唆を得た。
feedback
Top