日本養豚研究会誌
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豚の肉質に関する調査
古橋 圭介倉田 直亮片寄 正歳尾崎 晴美佐藤 安弘
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1974 年 11 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

神奈川県内で飼養されている代表的な大型品種である, L, W, H, Dの4品種について, 各品種の肉質特性をなるべく数値的に把握して, 今後の良質豚肉生産技術確立に資するため, 肉質の分析調査を行なった。供試豚としては, 畜試で飼養した4品種各4頭づつと, 豚産肉能力検定所に出品された検定豚からL, H, Dの各6頭づつを用いた。供試豚の発育, 飼料要求率・枝肉成績は正常な値を示し, 肉質試験用標本として適当なものであった。
赤肉中 (第6胸推~第8胸推部の背最長筋中心部を供試) の一般成分については, DはL, W, Hに比べて水分が1~2%低く, 粗脂肪が2%前後高い傾向がみられたが, 粗蛋白質についてはほとんど差が認められなかった。90kgと殺と110kgと殺時の比較においては, 110kgと殺のものが水分でわずかに低く, 粗蛋白質, 粗脂肪でわずかに高い傾向を示した。また性別では, 雌より去勢の方が水分と粗蛋白質でやや低く・粗脂肪でわずかに高い傾向がみられた。
肉色では, 畜試飼養豚群と産肉能力検定豚群でやや傾向を異にし, 後者ではDが他の品種より, 明度, 彩度, 色相ともに大きい傾向がみられたが, これは赤肉中の脂肪量や肉眼的にみたマーブリングの状態とも非常によく一致していた。そして背最長筋組織切片についてズダンIIIによる脂肪染色を行なった結果では, 肉眼的に認められるマーブリングは脂肪のさしであることが確認された。また体脂肪融点では, 腹腔脂肪は背脂肪皮下外層より4℃以上高く, 品種ではHが特に低く, DはL, Wより高い傾向がみられた。

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