豚の繁殖障害に関する研究に着手するに先立ち, 雌豚の飼養状況と繁殖障害発症の実態を知る目的で, 茨城県下の養豚農家133戸, 雌豚3,048頭について, 各調査農家の庭先において直接聴き取り調査を行い, 次のような結果が得られた。
1 雌豚の飼養状況は, 飼養頭数6~30頭の飼養規模範囲の養豚農家が全体の66.2%を占めていた。雄豚は46.6%の農家で飼養され, 1~2頭飼養が最も多く, 全体の26.3%の農家で飼養されていた。給与飼料は, 配合飼料および配合飼料を基礎とした自家配合飼料を給与している農家が97.7%みられ, 飼料養分水準よりも給与養分量 (飼料量) に問題があった。子豚の哺乳期間は, 26~30日が63.2%で最も多かった。離乳後の発情再帰日数は6~10日 (69.9%), 11~15日 (15.8%) のものが多かったが, 夏季分娩では遅い傾向がみられた。
2 繁殖障害の発症は, 調査戸数の77.4%, 調査頭数の17.2%に認められた。発症分類別では離乳後無発情が45.4%, 低受胎が28.6%と多かった。また繁殖障害の発症と飼養規模との関係では, 1~5頭および6~10頭の小規模飼養農家では34.9%と36.9%で高率の発症がみられたが, それ以上飼養規模が増大するに従い発症率が低下した。しかしながら対頭数割合では, 6~10頭規模で発症率が高かった。