日本養豚研究会誌
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軟脂の物理的性状および判定方法に関する研究
入江 正和大本 邦介
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1982 年 19 巻 3 号 p. 165-170

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抄録

脂肪組織のテクスチャー及び軟脂の判定基準に関する方法を確立するために, テクスチュロメーターを用いて軟脂を通常豚脂と比較検討した。
組織脂肪の硬さ, ガム性は背脂肪 (内層, 外層) においては軟脂および硬脂グループで差は認められず, 腎脂において有意差があった。凝集性については各グループ間で殆ど差がなかった。
部位別では, テクスチャー特性 (硬さ, 凝集性, ガム性) は背脂肪外層でもっとも高い値を示し, 次に皮下内層, 腎脂の順であった。
軟脂は皮下組織脂肪において通常豚脂と比較してテクスチャー特性は殆ど変わらないものと思われた。
部位による細切, 抽出脂肪の硬さは組織脂肪の時と逆の関係であった。
細切あるいは抽出脂肪の硬さにおいて, 軟脂グループは硬脂グループより有意に軟らかかった。
これらの事から組織脂肪の硬さは組織強度に負う所が大きく, 細胞の貯蔵脂肪の性状には影響されにくいことがわかった。
また, 細切脂肪, 特に腎脂を用いたテクスチュロメーターによる硬さの測定値は軟脂の客観的な評価方法としてもっとも有効であると思われた。

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