日本養豚研究会誌
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豚の呼吸エネルギー代謝に関する研究
2. 豚の熱発生量測定におけチエンバー法とマスク法の比較
戸原 三郎中村 彰西野 松之佐藤 至丹羽 美次
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1982 年 19 巻 3 号 p. 171-176

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抄録

著者らはチエンバー法 (A区) とマスク法 (B区) で, 豚のCO2発生量とO2消費量, 呼吸商, 熱発生量, 呼吸数, 心拍数を測定する実験を行った。供試豚はデュロック種3頭 (27.4±1.9kg)で, チエンバー法は22例, マスク法は17例について測定した。
1. 環境温度はA区が平均19.50±1.55℃, B区は18.39±1.06℃, 相対湿度は前者が平均83.3±6.7%, 後者は67.3±12.0%, 絶対湿度はA区が平均11.3±1.4g/m3, B区は8.2±0.9g/m3となり, いずれもA区の値はB区より若干高く, とくに相対湿度の差が多かったが, 両区の間に有意差は認められなかった。
2. CO2発生量はA区が平均12.61±2.54l/hr, B区は13.26±3.11l/hr, O2消費量はA区が平均15.82±2.99l/hr, B区は15.11±3.33l/hrであったが, いずれも両区の間に有意差は認められなかった。また, 呼吸商はA区が平均0.82±0.07, B区は0.88±0.10で, 両区の間に若干の差が認められた。
3. 熱発生量はA区が平均6.14±1.10Cal/kg0.75・hr, B区は6.14±1.47Cal/kg0.75・hrであったが, 両区の間に有意差は認められなかった。
4. 呼吸数はA区が平均43.8±17.1回/分, B区は40.6±9.2回/分, 心拍数はA区が126.5±9.9回/分, B区は129.1±9.7回/分で, 双方とも両区の間に若干の差はみられたが, 有意差ではなかった。
5. 豚の熱発生量の実験において, チエンバー法とマスク法の両測定値の間に統計的な有意差が認められなかったので, いずれを採用してもよいと考えられるが, 豚にはチエンバー法のほうが適していると思われる。

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