日本養豚研究会誌
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豚の呼吸エネルギー代謝に関する研究
3. 初生豚の熱発生量および生理反応におよぼす環境温度の影響
戸原 三郎佐藤 至児玉 麻季子西野 松之中西 五十
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1983 年 20 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

環境温度を適温区 (35~29℃) と低温区 (15℃) に分け, 生後2時間と同12時間, 同24時間に初生豚のCO2発生量とO2消費量, 呼吸商, 熱発生量, 呼吸数, 心拍数, 体温を調べた。
1. CO2発生量は適温区の生後2時間が1.76±0.34l/hr, 同12時間が2.32±0.48l/hr, 同24時間が1.86±0.52l/hrで, とくに12時間後の増加割合が多かった。そして, 低温区はいずれも適温区より多く, それぞれ61%, 28%, 77%増であった。2. O2消費量は適温区の生後2時間が2.12±0.36l/hr, 同12時間が2.70±0.52l/hr, 同24時間が2.28±0.62l/hrで, とくに12時間後の増加割合が多かった。そして, いずれも低温区は適温区より多く, それぞれ60%, 47%, 72%増であった。
3. 呼吸商は適温区の生後2時間が0.84±0.10, 同12時間が0.84±0.08, 同24時間が0.82±0.07, 低温区はそれぞれ0.83±0.09, 0.75±0.04, 0.84±0.03となり, 低温区の12時間後を除くとだいたい一定していた。
4. 熱発生量は適温区の生後2時間が7.57±1.00Cal/kg0.75hr, 同12時間が9.11±1.31Cal/kg0.75hr, 同24時間が8.11±2.18Cal/kg0.75hrで, とくに12時間後の増加が多かった。そして, 低温区はいずれも適温区より多く, それぞれ72%, 60%, 89%増であった。
5. 呼吸数は適温区の生後2時間が89.0±32.1回/分, 同12時間が64.9±13.6回/分, 同24時間が50.4±12.0回/分で経時的に減少しており, また, 低温区も適温区と同様に減少の傾向であった。そして, 低温区は適温区のそれぞれ76%, 96%, 119%であった。
6. 心拍数は適温区の生後2時間が196.3±27.4回/分, 同12時間が196.0±33.6.回/分, 同24時間は178.5±28.5回/分で時間の経過に伴い減少の傾向がみられ, また, 低温区はいずれも適温区より多く, それぞれ34%, 26%, 36%増であった。
7. 体温は適温区の生後2時間が38.31±0.87℃, 同12時間が38.54±0.65℃, 同24時間が38.43±0.25℃で, 低温区はいずれも適温区より低くそれぞれ, 適温区の95%, 97%, 97%であった。

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