日本養豚研究会誌
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豚における自給飼料の利用に関する研究
第2報 肥育豚での馬鈴薯サイレージ及び澱粉粕の利用性
米田 裕紀首藤 新一阿部 登所 和暢糟谷 泰西部 慎三吉本 正
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1984 年 21 巻 3 号 p. 125-134

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抄録

肥育豚に対する馬鈴薯サイレージ及び澱粉粕の効率的利用体系を明らかにするため, サイレージの給与割合, 豚の品種別での利用性, 高蛋白質飼料の比較, 澱粉粕の嗜好性, 栄養価値, 添加割合及び栄養補正について一連の試験を実施した。
1. 馬鈴薯サイレージの配合飼料に対する代替給与は風乾物に換算して40%が適量と考えられた。
2. 馬鈴薯サイレージの豚の品種別での利用性は中ヨークシャー種が劣っていた。
3. 馬鈴薯サイレージの多給による蛋白質の不足を補うためには, 大豆粕が有効であったが, アミノ酸のバランスを考慮すると種々の組合せが必要となる。
4. 馬鈴薯サイレージは煮熟または熱湯処理によって嗜好性は向上するが, サイレージ給与の場合との飼料効率, 燃料費, 労力などの経済性を考慮する必要がある。
5. 廃液を添加しない澱粉粕 (ポテトパルプ) と廃液を添加した澱粉粕 (ポテトミール) の嗜好性は, ポテトミールの方が良好であった。
6. ポテトミールの消化率は, 粗蛋白質が49%と低く, 粗繊維が85%と高く, DCPは4.8%, TDNは58.2となった。
7. ポテトミールの30%代替給与は大豆粕, 動物性油脂を添加しても発育増体は改善されなかったが, 20%代替給与では動物性油脂の添加によって, 改善が期待できた。
8. ポテトミール, 動物性油脂の添加によって, 肉質には悪影響は全く見られなく, 良質な豚肉が生産された。

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