日本養豚研究会誌
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グレインウィスキー蒸留生廃液による子豚の育成と肥育
小島 洋一中村 義一宮崎 昭
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1984 年 21 巻 3 号 p. 135-141

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抄録

グレインウイスキー蒸留生廃液を給与して子豚を育成し, さらにひき続いて肥育試験に供した。廃液の一般成分の平均は, 乾物41.0%, 現物中の粗たん白質14.3%, 粗脂肪9.9%, NFE13.2%, 粗繊維0.2%, 粗灰分3.5%でpHは4.5, 粘度は11848cpであった。第1~第3試験の対照区 (各々4, 4, 6頭) には市販育成用配合飼料のみを給与し, 試験区 (各々4, 5, 5頭) には市販育成用配合飼料: 廃液: 糖蜜をそれぞれ10:5:1, 20:15:2, 2:1:0の割合で混合して自由摂取させた。1日当たりの増体量 (kg) は, 第1試験 (28日) で対照区0.73, 試験区0.87, 第2試験 (42日) で0.86, 0.89, 第3試験 (41日) で0.75, 0.78kgであった。
ひき続いての肥育試験では, 市販育成用飼料を同肥育飼料におきかえたが, 1日当たりの増体量 (kg) は, 第1試験 (42日) で対照区0.87, 試験区0.81, 第2試験 (35日) で, 0.75, 0.79, 第3試験 (18日) で0.98, 0.99であった。また肥育豚の枝肉計測値や脂肪や肉の色調は, 対照区と試験区の間に大差がなかったが, 皮下脂肪と腎臓脂肪の不飽和脂肪酸の割合が試験区において高く, なかでもリノール酸の割合が高かった。なお飼料費を試算してみると,廃液給与の試験区において, 対照区と比較しいずれも10%以上の節減が認められた。
本研究を実施するにあたり, グレインウィスキー濃縮生廃液を提供していただいたサングレイン株式会社に対し, 深甚の謝意を表します。

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