日本養豚研究会誌
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プロスタグランジンFの投与による豚の分娩開始時間の調節
山田 豊中村 正斗美斉津 康民瑞穂 当
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1986 年 23 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

プロスタグランジンF(PGF) の投与による豚の分娩誘起技術を, 実用技術として確立するために本実験を行った。その結果, 次のような成績が得られた。1) 乳汁分泌のみられない豚にPGFを1回注射した場合には, 妊娠111日以降5~20mg投与することによって, 平均約35時間後に分娩を開始させることができ, 分娩誘起効果は確実であった。この分娩誘起効果は, 5~20mg投与の範囲では同程度であった。2) PGFの投与から分娩開始までの時間をより一層斉一化することを目的として, 6時間あるいは24時間間隔で5mgずつ2回注射したが, 大きな改善効果はみられなかった。3) 乳汁分泌のみられる豚に1回注射した場合には, 5mg以上の注射で分娩開始までの時間は平均4時間であり, 顕著な分娩開始促進効果が認められた。4) PGFの投与によって, 分娩の経過や母豚および子豚への悪影響は認められなかった。5) 以上のように, PGFの投与による分娩誘起技術について一連の実験を行い, 本技術を実用技術として確立した。その結果, 豚の分娩開始をある程度人為的に調節することが可能となった。

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