抄録
肉豚に対するマメ科牧草の利用性について検討するために, まずその予備実験として草の嗜好性, 処理方法, 採食量および採食時間について調査した。
供試豚には体重50~60kgの中ヨークシャー種去勢豚3頭を用い, 昼食時にマメ科牧草の代表としてラジノクローバーを12日間飽食させ, その間, 嗜好材性についてはキャベツ葉と比較し, 草の処理方法としては切断したものと刈り取り状態のものについてその採食状況を比較し, さらに採食量とそれに要する時間について調査した。
その結果, 嗜好性については, キャベツ葉と同程度にラジノクローバーを好食し, 嗜好性は高かった。
処理方法については, 切断しないで与えた場合には液汁だけを食下し, 繊維質のものを口外に吐き出す傾向が認められ, 糞中にもわずかではあるが茎部が長いまま不消化の状態で排せつされていた。切断したものについてはそのようなことは認められなかったので, 実際に草を給与する際には切断した方がよいと考えられた。
採食量については, 50~60kgの豚では3.5~4kgのラジノクローバーを採食することができた。
採食時間については, 3.5~4kgを食べるのに3~3.3時間を要していたが, 時間別採食量については, はじめの30分間に採食する量がもっとも多く, その後は単位時間当り採食量は少なくなっていった。したがって1日に数回草を与える場合は30分くらいで食べつくす量が適当であると認められた。