日本養豚学会誌
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暑熱環境における豚の消化能力と発育
梶 雄次古谷 修
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1988 年 25 巻 2 号 p. 56-60

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抄録

夏季の暑熱環境が豚の生産性に及ぼす影響を検討するため, 子豚および成雌豚を用いて飼養試験ならびに消化試験を実施した。供試に当っては, 豚を23℃に保った温調室 (適温区) あるいは暑熱環境下にある一般豚舎 (高温区) に収容し, 豚産肉能力検定飼料を給与した。実験1では, 初体重が約40kgの子豚16頭 (去勢雄豚8頭, 雌豚8頭) を雌雄各4頭ずつ適温区と高温区に分け, 3週間性別に群飼した。飼料摂取は自由とした。試験期間中の高温区における環境温度の平均値は26.3℃で, 最高気温が32℃を越えたのは10日, 30℃を越えたのは18日であった。その結果, 飼料摂取量および増体量は高温区が適温区に比較して有意に劣ったが, 飼料要求率には差が認められなかった。去勢雄豚は雌豚よりも飼料摂取量が多く, 増体は速かった。乾物, 粗蛋白質 (CP) および総エネルギーの消化率については, 高温区と適温区の間に有意差は認められなかったが, 適温区の去勢雄豚の消化率が低い傾向にあった。実験2では, 平均体重が約230kgの成雌豚4頭を用い, 妊娠期と授乳期で, 適温および高温環境下での消化試験を実施した。妊娠期および授乳期の1日飼料給与量は, それぞれ, 2144gおよび5031gに制限した。試験は7月7日から9月1日までの57日間で, その間の高温区における環境温度の平均値は26.6℃, 最高気温が32℃を越えたのは34日, 30℃を越えたのは47日であった。乾物, CPおよび総エネルギーの消化率は, 妊娠期および授乳期とも適温区と高温区で差が認められなかった。

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