日本養豚学会誌
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豚の脂肪組織と筋内脂肪の理化学的性状に及ぼす大豆油添加と添加時期の影響
入江 正和藤谷 泰裕
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1989 年 26 巻 4 号 p. 255-260

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抄録

飼料への大豆油添加とその添加時期の差異が豚の脂肪組織と筋内脂肪の理化学的性状にどのような影響を及ぼすかを検討した。
4ヵ月齢の子豚10頭を飼料給与条件によって3グループに区分けし, 6週間飼養した。I区は4頭とし, 対照区として基礎飼料を給与した。II区とIII区は各3頭とし, 大豆油5%添加飼料をそれぞれ実験期間の前期と後期に4週間給与し, 他の2週間は基礎飼料を給与した。背脂肪の内層と外層, 腎臓周囲脂肪, 胸最長筋より脂質を抽出し, 分析に供した。結果は次のとおりである。
大豆油の添加は, 筋内脂肪を含むすべての部位の脂肪においてC18:2とC18:3含量を増加させ, 代わってC18:1含量を減少させた。また油脂添加飼料は, 脂肪組織の融点とテクスチュロメーターによる硬度を低下させ, ヨウ素価と屈折率を上昇させる傾向にあった。C18:2含量からみた場合, 脂肪組織は筋内脂肪よりも油脂添加の影響が大きく, 飽和脂肪酸と融点の変化からは, 背脂肪内層, 外層よりも腎臓周囲脂肪で油脂添加の影響が顕著であった。測定部位における脂肪のC18:2, C18:3含量及びヨウ素価では, III区がII区より高い傾向にあった。しかし, III区のC18:0含量はII区よりわずかに高く, 飽和脂肪酸含量とテクスチュロメーターによる硬度は殆ど同じであった。したがって, 油脂添加時期の2週間ほどのずれは, 脂肪のしまりにほとんど違いを与えないが, 理化学的性状には部分的に影響を及ぼすことがわかった。

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