抄録
肉豚への効率的な飼料の給与法を明らかにするため, LW・D三元交雑豚36頭を3試験区に分け, エネルギー水準は異なるが栄養率を一定とした3種類の飼料, すなわち低栄養区 (TDN70%, CP13.5%), 中栄養区 (TDN74%, CP14.3%) および高栄養区 (TDN78%, CP15.1%) をエネルギー摂取量が同等になるように単飼で制限給餌した場合の発育を調べるとともに, 生体重105kg到達後屠殺して肉量および肉質に関連する特性を測定し, 比較検討した。
その結果, 飼料のエネルギー水準が異なっても給与量の調整によってエネルギーおよびその他の栄養素の摂取量を同等にすれば, 飼料要求率こそ大きく異なるものの1日増体量, さらには枝肉中の赤肉量, 脂肪量及び骨量に影響はなかった。
飼料のエネルギー水準による影響がみられたのは, 肉質のうち体脂肪の性状のみであって, トウモロコシの高率配合 (70.2%) と動物油脂添加 (2%) によった高栄養区は低栄養区に比べて, 明らかに体脂肪の融点が低下し, 不飽和脂肪酸量が増加した。しかし, 供試飼料によるその程度の脂肪の品質の相違は, 豚の品種差より小さいもので, 軟脂豚発生の要因とはならないものと考えられた。