日本養豚学会誌
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子豚の吸乳行動に関する研究
III. 新生子豚の人工授乳装置に対する自発的吸乳行動
宮腰 裕柴田 輝押村 達哉白井 清治四辻 英巳
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1991 年 28 巻 3 号 p. 197-204

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抄録

出生直後の子豚に対して, 人工授乳装置からの自発的吸乳行動を促す目的で, 実験を行った。表面を保温したスポンジを用いた授乳装置Aでは, 出生後30分間に供試子豚数の56.5%が吸乳に成功し, 出生後吸乳開始までの所要時間は, 平均17.8分であった。しかし, この装置では, nosing を中止する子豚が観察された。温湯を入れたゴム袋を用いた授乳装置Bでは, 子豚の接触による揺らぎが見られ, それが子豚の活発な nosing を促すことが観察された。出生後30分間にこの装置から吸乳した子豚数は供試子豚の82.6%, 出生後吸乳開始までの所要時間は平均10.3分であった。この実験に用いた人工乳頭は, 子豚のくわえこみ反射および吸引反射を誘起し, さらに口に入れると容易に代用乳が出る構造により, 子豚は1度その乳頭を口に入れると確実に吸乳行動を発現し, それを継続した。
子豚の nosing およびくわえこみ反射を刺激することにより, 出生直後の子豚に対して人工授乳装置からの自発的な代用乳摂取を促すことが可能であった。

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