日本養豚学会誌
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豚胚移植に関する研究
3. 外科的胚回収と術後障害発生との関係
林 哲小林 一彦水野 仁二大石 隆一
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1994 年 31 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

8ヶ年にわたる豚胚の外科的胚回収556事例のその後の経過について, 外科手術と術後障害の発生要因との関係を追跡調査した。供胚豚として供試された前記事例のうち淘汰された127頭の内訳事由は生殖器の癒着によるもの40.9%, 無発情・無排卵などの繁殖障害によるもの11.0%, 感染その他の障害によるもの5.5%であった。外科的胚回収豚では癒着による障害が最も頻度が高かったのでさらに詳細に検討した。すなわち, 2回以上反復回収を行った330事例のうち癒着によって淘汰を余儀なくされた事例は52例15.8%であった。実験期間を前期, 中期, 後期の3期に分けて集計すると実施時期が後になるほど癒着による淘汰割合が減少した。これに伴い同一供胚豚から反復して回収できる回数も増加した。これは, 時期の進行に伴って施設の改善, 術式の改善・習熟に影響されたことがその要因と思われる。繁殖障害によるもののうち卵胞嚢腫は, PMSGの高単位投与と係わりがあることが示唆された。

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