曝磁 (以下, 磁場印加と記述する) 凍結がブタ精子の融解後の生存指数, 先体正常率およびGOT漏出量に及ぼす影響を調べた。濃厚部精液を前処理液で希釈して3時間室温に放置後, 遠心分離により上澄みを除去した。沈澱精子は凍結用希釈液に浮遊後, 90分を要して5℃まで冷却した。第二次希釈液を添加後ストローに封入し, 液体窒素蒸気中で20分放置して凍結した。磁場印加凍結では, 10,000 Gauss (以下Gと略記) および4,000Gの永久磁石を用いて形成された7,450G, 1,550Gおよび240Gの静磁場内で凍結を行った。
得られた成果は, 次の通りであった。
1. いずれの磁場強度においても融解後の精子生存指数は高められたが, 正常先体率およびGOT漏出量は対照区と著差はみられなかった。
2. 磁場印加の効果は, 太型ストロー (φ5mm) による凍結で明確に認められたが, 細型ストロー (φ2mm) では認められなかった。
3. 精子濃度10億/mlでも磁場印加による融解後の精子生存指数の改善効果が認められた。また, 1,550Gは240Gよりも精子の生存指数が高くなる傾向がみられた。
4. 1,550Gで磁場印加凍結した精子の授精により正常な産子が得られた。
以上の結果から, 磁場印加凍結が融解後のブタ精子の生存性の維持, 改善に有効であることが確認された。