日本惑星科学会誌遊星人
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月隕石研究による最新の月の描像(特集「月科学の最先端と今後の展望:月はどこまでわかったか?その2」)
荒井 朋子
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2011 年 20 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

アポロ・ルナ探査により持ち帰られた月の岩石試料は,月の成り立ち及び太陽系の固体天体の起源や進化を理解するための礎となっている.月は,火山活動が形成初期に限られ,地球ほど岩石種や組成が複雑でないと想定されていたため,アポロ・ルナ試料の分析により,月の成り立ちはおおむね理解できたと考えられてきた.しかし,その後の月隕石の発見や月周回衛星による全球探査により,アポロ・ルナ試料が,多様な組成を持つ月表層の限られた地域を代表するにすぎないことがわかった.月隕石は,月面の無作為な地点への隕石衝突により,地球にもたらされた月試料であり,月全球の物質を理解する重要な手掛かりである.本稿では,月隕石研究によりアポロ時代の定説がいかに修正されているかを示し,最新の月の描像を紹介する.

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© 2011 日本惑星科学会
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