2015 年 24 巻 3 号 p. 225-232
月や火星には深さ・直径共に数10mから100mにおよぶ縦孔が近年,探査機によって多数観測されるようになった.また縦孔の中には,地下空洞に開いた「天窓」であることが確実なものもある.こうした縦孔は,科学的に多くの興味があるとともに将来的に人類が月や火星に進出したとき,長期滞在に適する基地として有望な場所でもある.月の大きな縦孔については,地下空洞の天井に隕石衝突が引き金となって形成された可能性が示唆されている.本研究では,月に見られる楕円形の大きな縦孔が,隕石の斜め衝突によって形成された可能性を,実験的研究によって明らかにした.